「親父の香り(아버지의 향기)」(韓国文芸雑誌「良い考え」3月号掲載作)

1月の「オンマの奇跡」に引き続き、ジョンヒョの「家族エッセー」、今回のテーマはアボジ(父さん)です。

全国に販売する有名文芸雑誌「良い考え」、2008年3月号に掲載されたエッセー「父親の香り」をご紹介いたします。

今夜は寂しい父さんに愛する気持ちをそーと伝えましょう~

 

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ジョンヒョと一緒に韓国へ !★

 

2007年の忘年会が終わった。
入社してばたばたしてたらもう2007年は暮れようとしていた。
スーツが嫌いでスーツで通う会社はいやだと思ってたのに、スーツも硬い靴ももう十分慣れてきた。
過ぎ行く年を思い返し、新しい一年に対する期待感を持って・・ 焼酎2杯にもう真っ赤になってふらふらしながらもいろんなことを考えながらてくてく家に帰ってきた。

帰ってきたら親父はもうほぼ毎日続いている忘年会に今日もぐたぐたになって部屋にどろの様に寝ていて、お袋はいつものように居間のソファーでTVをつけっぱなしにして眠っていた。
そーと部屋に入ってスーツを脱いでその場に、私はひとりでぼんやりと突っ立ていた。いろんなガラクタでポケットがぎっしり詰まっているスーツ、そのスーツからきつく漂ってくる焼肉の匂い、そして、朝剃っても夜になるとすぐがさがさ伸びているひげ・・ 社会人になってたかが1年ちょっとだけど、今の私の姿、自分から漂っていた匂いは子供の頃、記憶の中で強く残っている親父の姿、匂いとそっくりだった。

ジョンヒョと一緒に韓国へ !★

散々酔っ払っって0時に過ぎて帰ってきて、寝ていた私の顔をがさがさなひげを押し付けて目を覚まさせて、靴下も脱がせてくれっていっていた親父・・ その都度、漂ってきた正体不明の匂いも、そんな父さんも大嫌いだった。そして、小さな手でようやく脱がせたスーツには何かがいっぱい詰まっていて・・奥まで手をいれて取り出してみたら分厚い財布、鍵、ガム、タバコ、ライターなどなど・・ あらゆるガラクタが出てきた。
この一瞬に数年前を思い出してそっと自分のスーツに手を入れてみた。タバコは入っていないけど、当時の親父の財布のように分厚い財布、鍵束、ガム、くずなどが出てきた。

私は数年間の謎がやっと解けたような気がした。その時、正体不明の親父の匂いはまさに焼肉やでついた焼肉の匂い、お酒の匂い、タバコの匂い・・そして家族という重い荷を背負っている一人の家長の香りだったのだ。
まだ新米の会社員の私には家長にもなれず、まだ世の中について何も知らない子供なのだが・・社会人になった今になってはじめてその時、親父から漂っていた匂いが何なのかやっとわかってきた。一生子供でいると思っていた私だから、年をとって親父に似ていくということが不思議なだけだった。私は将来親父のような堂々とした、立派な家長になれるかな??

もう一度奥の間のドアを開いて親父をぼんやり眺めてみた。
もう来年で60、毎日を一生懸命に生きてきたおかげで高校の校長になり停年退職も遠くはない。疲れやストレス、そしてお酒のせいで赤くなっている顔、いつからか白くなった髪は老いを感じさせるが、親父の香りは子供の頃、親父の靴下を脱がせに行ったとき漂ってきた香り、そのままだった。 親父にそっくりになっていく息子が静かにドアを閉めながらそっとささやく。

「父さん、愛しています・・」

ジョンヒョと一緒に韓国へ !★

 

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24 thoughts on “「親父の香り(아버지의 향기)」(韓国文芸雑誌「良い考え」3月号掲載作)

  1. スヨニ says:

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    胸にグッときました。

    私は父が苦手です。

    まだまだ心のどこかに高い壁があって、乗り越えられないまま今に至っています。

    ウリ アボジは64歳。一度退職して、まだ働いてます。

    幼い頃から父との関わりがなかったせいか、思い出せる事もなく強いて言えばケンカをした事くらい。

    素直に
    『アボジ サランヘヨ…』

    と言えるジョンヒョさんが、うらやましいです(*^-^*)

    私も、いつか言えたら良いな…。

    ジョンヒョさんは顔もお父様に似てるし、きっと立派な家長さんになる事が出来ますよ♪

    1日も早く、その姿をお父様に見せる事が出来るよう祈っています…☆

    ファイティン!!
    \(^o^)/

  2. Suk says:

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    こんばんは。何日か前にペタしていただいてお邪魔しました。

    素敵なご両親ですね。1月のお母さまのお話、その内容から一年前のお話とさかのぼって読ませていただきました。
    とても興味深い内容がたくさんでしたので、過去のものも少しずつ拝見させていただきますね。
    これからも楽しみにしています。

  3. kazu☆ says:

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    感動的なお話ですね(●´ω`●)

    私もなんやかんや言って、
    お父さんは大好きだし大切な存在です☆彡

  4. FT最高! says:

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    とても 感動いたしました

    やっぱり 小さいころは
    どことなく 父親って敬遠したくなるような
    存在に感じる時期がありますね

    良い年を重ね 
    自分が親の年齢に近ずき
    子供を持って 初めてわかる
    親の香り(思い)ですよね

    各々 違う香りをもって
    代々受け継がれていくものではないでしょうか

    親のありがたさを
    考えさせていただけた
    とても素敵な
    ブログありがとうございました

  5. ちえの輪 says:

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    いつも楽しくブログ拝見していました。
    今日は朝から電車の中で泣きそうです(笑)

    子どもは親の背中を見て育つ、とはよく言ったものだなぁと、私もジョンヒョさんと同年代ですからお気持ちすごくよく分かります。

    いくつになっても子どもだけど、やっぱり親のように立派な大人を志して頑張っていきたいですね!!

    今日もジョンヒョさんご一家にたくさん幸せが訪れますように(o^-^o)

  6. つっちー says:

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    お写真のお父様と顔がそっくりですね。
    さすが親子。間違いは無いですね。
    親父のにおいか。なんか懐かしいです。
    今の日本のお父さんってあんまり大切にされていないかもしれないな。私の祖母が昔の人だったから、父が新聞を読んでからじゃないと私は見せてもらえなかったという家庭でした。今はそんな家ないだろうな。

  7. PARK JONG-HYO says:

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    >FT最高!さん
    読んでいただきありがとうございます。
    各々 違う香りをもって代々受け継がれていくものではないでしょうか・・・その通りですね。少しは大人になったんだろうなと感じました!

  8. PARK JONG-HYO says:

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    >つっちーさん
    子供の頃は母親に似てるって言われたものの、年を取っていくにつれてなんだか父親に似てるって言われてます~とっても嬉しいです~^^
    父さんの存在感はどんどん薄くなっている時代ですね。一番さびしい存在だと思います。。

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