韓国映画600作鑑賞!韓国映画ファンがおすすめする「カル(텔 미 썸딩 )」

皆さん、こんにちは。
ブログの映画コーナーを担当しています、はじめです。今回の投稿で私のおすすめ韓国映画が10作目を迎えます。

今回は今まで取り上げなかったたジャンル「サイコサスペンス」から名作をご紹介します。

1999年に公開され、観客動員数を大幅に塗り替え、韓国映画のクオリティの高まりを世界中にアピールした『シュリ』。

この作品は韓国映画のターニングポイントのような一作として広く知られています。

『シュリ』の主演俳優ハン・ソッキュが次なる主演作として挑んだ作品が、1999年11月に韓国公開となった『カル』です。

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大ヒットとなった『シュリ』の影に隠れがちですが、同年に公開された本作も映画ファンをうならせる強力な一作です。

私にとって心に強く残った一作であり、99年というかなり前の作品ながら色褪せないクオリティの高い大好きなサイコサスペンスの名作。

いったいどんな作品なのか、紹介していきます。

映画情報

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タイトル:カル(原題:テルミー・サムシング 텔 미 썸딩)※邦題「カル」は韓国語で「刃物」の意。
公開:1999年
監督:チャン・ユニョン
主演:ハン・ソッキュ
その他出演:シム・ウナ、ヨム・ジョンア、アン・ソックァン、チャン・ハンソン、ユ・ジュンサン ほか

あらすじ

連続して発生する死体遺棄殺人事件。発見された遺体は驚くことにパーツごとに別人の物であることが判明。

この猟奇的殺人事件の解明のため、特別捜査班が結成。ハン・ソッキュ演じるチョ刑事が捜査のリーダーとなる。

3人目の被害者が出た後、被害者たちの共通人物として浮上したのはシム・ウナ演じるスヨン。被害者たちはスヨンの元恋人であり、現恋人であった。

自分自身の過去について口を閉ざすスヨンだが、事件解決に向け熱心なチョ刑事に少しずつ心を開き始める。

スヨンを昔からよく知る人物が犯人だと推測したチョ刑事は、彼女の生い立ちの捜査を始める。

そして、スヨンのショッキングな幼少期の事実を知ることとなる。

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ここが見所

見所をポイントごとに紹介していきましょう。

◆見所その1:猟奇的殺人を描いた初の韓国映画!
90年代まで韓国ではメディア作品の過激な表現の規制が厳しい状況でした。

本作はその規制に立ち向かうように、これでもかと言うほどグロテスクな描写が取り入れられています。

遺体の解体シーン、バラバラにして袋詰めされた遺体の一部が袋から飛び出るシーンは、本作のグロテスクさの象徴です。

公開前、複数のシーンに対して削除の命令が出たという逸話もあるほどです。

幾つかのシーンが削除されたのか定かではありませんが、本作は公開から2日で当時のサスペンス映画の持つ観客動員数を塗り替え、99年国内映画第3位のヒットを記録しました。

現在の韓国映画も過激なグロテスクさは持ち味の一つですが、そのきっかけは本作からと言えるかもしれません。

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◆見所その2:名作の主演俳優が再共演
日本でもファンの多い素朴なラブストーリー『八月のクリスマス』。田舎町の写真屋店主の恋愛をセンチメンタルに描いた98年の作品です。

ヒットを記録したこの作品で主演を演じたハン・ソッキュの相手役を演じたのはシム・ウナ。

多くのファンの胸を切なくさせた二人が本作『カル』で再共演を果たしています。

『八月のクリスマス』とは全く趣が異なる二人の役柄にも注目です。

2作品を見比べて、二人の演技を味わうのも楽しめそうです。ちなみに、シム・ウナは2000年をもって芸能界を引退。

短期間で映画スターにまで上り詰めたミステリアスな女優さんです。

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◆見所その3:なんと言ってもコアな映画ファンをうならせる謎多きストーリー
本作の最大の持ち味は、謎解きと真相を見る者に委ねる「一度見ただけではなかなか理解できない難解なストーリー」です。

大筋だけ理解できるように構成され、人によって自由に解釈が楽しめます。

ヒロインスヨンは恋人たちを殺したのかもしれませんが、その確たる証拠や設定は描かれません。

また、ラストでチョ刑事が次なる犠牲者として狙われているような展開となりますが、その理由や犯人がわからぬまま物語は幕を閉じます。

そうです、本作では事件の「動機」が明かされることはありません。

ただただヒロインスヨンの抱えた暗い過去と闇、それに飲み込まれていくチョ刑事の姿が鮮やかに描かれています。

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本作はブラッド・ピット主演でヒットを記録した『セブン』(1995年・アメリカ)の世界観に似た20世紀末の上質なサイコサスペンスとして映画ファンから支持されています。

『セブン』は、人間を罪に陥れると言われるキリスト教の「七つの大罪」と猟奇殺人を絡めた意欲的な作品です。

降り止まない雨のシーンの多用は、世紀末の終末感を纏っています。

『カル』においても止まない雨が多用されているほか、作品の冒頭で映し出される絵画「カンビュセス王の裁判」が本作の骨格を意味しています。

この絵は、罪を犯した権力者を裁く場面ですが、なんと生きた人間の皮を剥ぐ!という残酷な状況を描いたものです。

「生身の人間を切り裂き罰を与える」。あなたならこの絵画のテーマに何を感じ、この作品の謎をどう解釈するでしょう。

この作品が問いかけるもの

先述の通り、本作の謎解き、理解は見る人に委ねられています。

監督自らも「一度だけでは理解できない」と語る本作にぜひ挑戦し、様々な解釈を楽しむことをおすすめします。

私自身、この先も何度も見たくなるような独特の世界観に惹かれています。

「苦手な人は苦手」、「好き嫌いが分かれる」タイプの作品かもしれませんが、難解な映画、サスペンスが好きな方、そして近年の韓国映画しかまだ見たことがない方、ぜひ見ていただければ嬉しいです。

現在の韓国映画に受け継がれているクセになる過激さ、鬱蒼とした世界観の源流となるような一作です。

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予告編

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