【韓国軍隊:兵長時代】1. 数えた星の分だけ大人になる

2年2ヶ月間小まめに書いていた日記。そこには夜の不寝番勤務中に暗闇の中で当時の率直な感情を綴った内容が多い。

誰にも邪魔されない自分だけの1時間・・・。夜空にはこんなにも星が多かったのかと気付いたのも軍隊時代だったし、生まれて初めて流れ星も目にした。その無数の星を数えながら、親、友達、別れた彼女、休暇についての空想、これまでの自分の人生、そして、これからの自分の未来のことなど、様々な思いにふけた。

特に込み上がってくるのは家族への思いだった。殆どは生まれて初めて親から離れ、団体生活をする20代初めの青年。きらめく星を数えながら、今まで苦労して育ててきてくれた親の顔を浮かべ、密かに涙ぐんだ記憶は軍隊を経験した韓国男性なら誰もがあるはずだ。

厳しい生活の中で自分を見つめ直し、家族の大切さに気付き、自分の未来を設計していたその安らかな時間は、こよなく大切な時間だった。毎晩数えていた星の分だけ僕らは徐々に大人になっていったのだ。

詩人のように感性豊かな当時の日記を読んでみよう。


※何があっても毎週書いていた当時の日記

 

2002年 9月 17日

「もう1年・・・。1年という時間がこんなに何気に経ってしまうなんて・・・。まだ俺の頭の中には親と彼女から離れ、訓練所に入所していた記憶と、そのうっとりとして切ない感情が昨日のことのように生々しいのに・・・。

2001917日以降、以前の俺はいなくなってしまった。軍隊という特殊な集団の中で365日を過ごしながら、俺はこれまでの自分を徹底的に切り捨てて過ごさなければならなかった。そうしないとここで楽に過ごすことができないし、そのような1年が経った今、俺は別人になっていた。外での1年という時間は様々なことで埋まるはずだが、軍隊での1年間はここで何とか生き残ろうと、苦労して奮闘した惨い記憶しかない。

軍隊で1年を過ごした今、軍隊に対する俺の感想は「到底人なんか住むことのできない、糞のような所だ。しかし、男になるためには一度は来るべき所であり、自分を一層成長させ、発展できる機会を与えてくれた所だ」ということ。入隊前の俺の姿はマジで情けなくて、だらしなくて、乱れていた。軍生活とは俺にとっては神様がくれた一生に一度のチャンスなのかもしれない。一年間、俺は自分の無数の欠点の為に失敗し、挫折したけれど、その分、悟ったことも多かった。軍隊に入らなかったら一生気付かなかったかもしれない。

俺には手ごわい任務だった戦闘車操縦手。諦めようと思ったことも幾多、でも「若いうちの苦労は身の薬」という言葉を信じてここまでくることができた。

残った12ヶ月。何より無事に、そして成長した姿で家族の元へ戻ることを祈ってみる。

現在時刻、午前455分・・・。いろいろ考えていたら1時間の不寝番勤務も終わって交代の時間だ。一時間後はまた新しい朝を知らせるラッパの音が部隊に鳴り響くだろう。。。」

 

2003年 3月 13日

「眠い。夜35分。夜中に起こされ、不寝番勤務を勤めてもうちょっとで2年になるのに、甘い夢を見ている最中に起きなければならないのは未だに辛い。一等兵時代に「このくそ野郎!パッと起きないか!」と罵られて起こされていた時代に比べれば、「ジョンヒョ兵長。ジョンヒョ兵長。もう勤務の時間です。ご準備お願いします」と後輩が優しく起こしてくれる今はどれだけ幸せなんだろうか!さらに今日は野外での警戒勤務ではなく、室内での勤務である。

一日の中で、最も幸せで安らかな就寝時間。行政室で流している音楽の音と息の音だけで満ちている。

お父さん、お母さん、家族みんなゆっくり休んでいるかな。絶対に待っているから結婚しようと指切りして約束したのに、半年も経たずに僕の元から去ってしまった彼女は元気にしているかな・・・。

入隊して1年半。辛くて涙したことも多々あったけれど、入隊前とは肉体的にも精神的にも強くなった自分を感じる。もうすぐ訪れる夏を経て、冬がやってくる頃には俺もいよいよ除隊をする。もっと成長して凛々しい男になって社会で活躍できるよう、あと少し頑張るか!」

 

 

 

2003年 月 30日

4月の最終日。そして、俺の上等兵生活最後の日でもある。8ヶ月間の上等兵生活・・・。一等兵時代のように辛くもあり、兵長のように楽でもあった8ヶ月間だった。今日、上等兵マークを取り外しながら、8ヶ月前、このマークを取り付け、感激していた記憶が蘇ってきた。大将より高いとも言われる兵長、誰もが羨む兵士最高の階級に上り詰めたと思うと、胸がいっぱいになり、涙さえ出そうになる。

今日は弾薬庫の警戒勤務。一日中、梅雨のように降り注いでいた雨も止み、夜空には無数の星だけが煌いている。星達がまるで「兵長になるまでよく頑張ったな!おめでとう!」と祝ってくれているように感じて、胸が熱くなった。今夜は休暇の前夜のようにときめく、特別な夜になりそうだ。

そして、上等兵生活の幕を下ろす自分を思い切り励ましてあげたい。

「ジョンヒョ兵長お疲れ様!残った6ヶ月も無事に過ごし、かっこよく軍隊生活を締めくくるぞ!」

 

2003年 10月 2日

「久々に空想、思索が楽しめる一日が与えられた。特別戦術訓練により、本部小隊の僕らが一日中、勤務残留することになったのだ。昔から勤務残留の日はとても大切である。きつくて苦しい日課と作業から外れ、今日のように晴れた日は日差しに当たりながら、様々な考えもできるし、手帳にゆっくり日記も書くことができるからだ。

秋だ。まだ色付いてはいないけれど、すっかり秋の香りがする。久しぶりに警備哨所の2階に上り、見上げてみた空は真っ青で、風は涼しくて気持ちがいい。塀の向こうの田んぼも黄金色に彩り始めた。男の季節とも呼ばれる秋。特に秋になると異常にウキウキ、ソワソワして仕方がない症状で悩まされてきたので、「秋はやって来ないように!」と祈っていた。しかし、やっぱり無駄だった。軍隊で迎える3回目の秋になる。

D-24。俺より先に入隊した弟と昨日電話をした。久しぶりの家族との通話。相変わらず可愛らしい弟の元気な声と「信じているよ!うちの次男!」と言ってくれた母の声を聞いたら、嬉しくて元気が出る一方、肩が重く感じた。「信じる」という一言・・・。3兄弟の中で最も期待されてきた俺。除隊後、ちゃんとその期待に応えることはできるだろうか?正直不安が先立つ。しかし、必ず何でもうまくやり遂げ親を喜ばせることができるという確信と自信も同時に感じられる。2年2ヶ月という時間の間軍隊俺に対し、絶えることのない試練を通し、生まれ変わる契機と自信を与えてくれたからだ。

まだまだ先は遠いけど、焦らずに行こう!社会へ、そして、愛する家族の元へ戻る準備はもう整っているんだ。残った時間、まだ足りない部分を埋め尽くして自分を完成させよう!頑張ろう!」

「苦しんだだけ成長する」

苦しくて辛い時間も・・・

楽しくて幸せな時間も・・・

時は常に短い。

この大切な一瞬一瞬を意味深く送ろう。

雨降って地固まるようにこの試練さえ勝ち抜けば

一層成熟している自分になっているだろう。

そして、その試練の向こうには必ず素敵な世界が俺を待っているはずだ。

もう少しの辛抱だ!春は来る!

(辛いたびに読んでいた手帳の文章)