【韓国軍隊:兵長時代】2. 軍人は軍隊で彼女を失う代わりに喫煙習慣と水虫を得る

2003年 4月 2日

「寝ようと思って横たわったら、今日が父の誕生日だったことを思い出した。ギリギリ電話でお祝いの言葉を伝えることができた。来年はちょっとしたプレゼントでもできるかな・・・。

天気が最高すぎる。4月になって日差しもグンと暖かくなり、風は涼しい・・・この瞬間、最も羨ましいのは大学生達。いい天気の中で恋と浪漫が溢れるキャンパスライフを楽しんでいるんだろうな~ 俺も2年前は彼女もいて幸せな大学生だったな!来年の春はまた学校に戻り、キャンパスの浪漫と暖かい日差しを楽しめると思うと、ちょっと心も楽になった。」

 

パート1の「彼女との音信不通、部隊での不適応・・・脱営を決心する!」の内容をもう一度読んでもらおう。

―ある日、日課が終わり、くたくたになりながらも彼女に電話をするために電話ボックスへ向かったところ、隣の電話ボックスの中では同じく彼女の問題で悩んでいた同期のキム一等兵がしくしくと泣いているじゃないか!?(カップルの85%が彼氏の入隊中、別れるというアンケートの記事を見たことがある。若いカップルには2年という時間は過酷なのかもしれない。)「結局彼女に振られたのかな」と思いながら、僕も彼女に電話をかけた。なかなか電話に出てくれなかった彼女。その日、可愛い彼女の声の代わりに聞こえてきたのは「おかけになった電話番号は現在使われておりません」というメッセージだった。驚いて彼女の家に電話をすると、彼女のお母さんはすごく困った声で「あ、スジンちゃん、この前、電話番号変えたの」と・・・。僕はそのまま電話ボックスの床に座り込んでしまった。

普通ならお酒でも飲んだり、友達に会って相談したり、彼女にそのまま会いに行って何とかけじめをつけたり、気持ちを整理したりできるが、ここは何もできない別世界の軍隊。以前はタバコを口にしたこともなかった僕だったが、ストレスに耐え切れず、タバコも吸い始めていた。彼女の手紙、彼女との電話、次の休暇に彼女とやりたいことなどを想像しながら、なんとか毎日を励んでいた僕だったが、もう頑張る意味はなく、生きる意味さえも見失ってしまった。

このように入隊日に親と一緒に部隊に迎えに来て、何が何でも待っているから結婚しようと涙で約束した彼女。そんな彼女も、半年も経たずに音信不通になり、僕の元から去っていってしまった。

2年2ヶ月間(現在は、1年9ヶ月間)の軍隊生活を送る男には大きな心配が二つある。普通、大学1・2年生の時に休学して入隊することが多い為、2年間の学業に空白が生じるということが一つ。(復学後、学校の授業についていけずに苦労したり、同級生の女子に出遅れた復学生が、就職に失敗することも多い。実際、公務員試験においては99年まで軍服務加算点制度が設けられていたが、廃止。この制度の復活の論議が現在も進められている)もう一つが 彼女の問題である。厳しい受験時代を切り抜け、大学生になり、やっと目覚めた恋愛の甘さ!しかし、その幸せは長く続かず、軍隊という壁に阻まれ、しまいには僕の話からも分かるように、別れてしまうのが普通だった。軍人が自殺、鬱により問題を起こす主要原因の一つが彼女問題であるのも事実である。僕が服務不適応と彼女との音信不通が重なり、脱営を決心したように・・・。

僕が除隊日に泣く彼女を慰めることに必死で、傍で泣いていた母を抱いてあげることを忘れたように、その当時、母より大事だった彼女を大半の軍人は軍隊で失ってしまう。しかし、彼女を失う代わりに得るものがある。それが喫煙習慣と水虫だ。韓国男性は軍隊で彼女を失う代わりに一生付いてくるかもしれない喫煙習慣と水虫を得ることになるのだ。

厳しい環境で溜まるストレスを解消することがあまりできない軍隊で、僕らがよく手を出すのがタバコだった。軍隊は喫煙者養成所だという指摘により、今は制度も大分変わっているようだが、当時は「補給草」といい、誰でも申し込めば毎月ある程度のタバコがただで貰うことができた。ただで貰ったタバコがなくなっても安い値段で容易にタバコを買うことができたので、まさに「軍隊はストレス解消もあまりできないし、休む時間にやることもないから、タバコでも吸え!」というような状況だった。元々喉が丈夫でないこともあってタバコを口にしたこともなかった僕も、軍隊で喫煙者になってしまった。特に厳しい訓練と作業中の休憩時間、タバコを吸わなければ特に他にやることもなく、そのまま仕事を続けなければならない羽目になるのだ。韓国の成人男性の喫煙率が50%に昇り、韓国が世界的な喫煙大国になっているのは、軍隊が大いに一助しているわけである。 

また、一生禁煙できず、韓国男性を苦しめる喫煙習慣と共に一生韓国男性を苦しめるのが水虫だ。これも軍隊で得た誇らしい病気である。

全く通気性のない固い戦闘靴と耐久性の為に汗の吸収、通気性の悪いナイロン製の靴下を履く軍人。このような環境で一日中訓練、作業に汗をかくため、水虫にかからずにはいられなかった。真夏のある日、野外訓練が終わり、みんながテントに集まった時、そのひどい足の臭いに「人間の足でここまで悪臭が放てるんだ」と感心した記憶が未だに生々しい。

父を含め、男3兄弟がみんな無事に除隊している僕の家族。僕は除隊後、何とか禁煙と水虫退治に成功したが、僕を除いた父、兄、弟は、みんな喫煙習慣と水虫に今でも悩まされている。

 


*写真を撮っていたあの時も、戦闘靴の中では水虫の細菌がグングンと育っていた。