【韓国軍隊:一等兵時代】3. 訓練を通して韓国人から超韓国人に進化

2002年 7月 11日
「深夜4時、不寝番勤務中だ。遊撃訓練3日目の夜。
寒くて一睡もできなかった。体中痛くないところがない。最もつらいと言われる3日間の行軍から始め、ABCコース、レペル乗り、タワー飛び降り、4km駆け足など、悪名の高い様々なコースを諦めることなく、無事にここまでやってこれた。いつも体力に自信がなかった俺、到底できないと諦めようと思ったのも数回、でも、何とか我慢してここまで勝ち抜けた自分が不思議に感じる。」

 

「軍隊では2年間一体何をするの?」と日本人からよく聞かれる。答えは簡単だ。「戦争に備えた訓練」をする。他にも警戒勤務、陣地工事、精神教育などがあるが、軍隊はいつ戦争が起こっても敵に立ち向かえるように万端の準備をしておかなければならない。それが軍隊の存在理由である。特に韓国は2010年起きた延坪島砲擊事件と天安艦沈没事件を通じても分かるように、いつでも北朝鮮との戦争が起こり得る恐ろしい国、休戦国なのだ。(延坪島砲擊事件:2010年3月、北朝鮮に近い延坪島という町が砲擊され、住民と軍人が多数死傷した事件。 天安艦沈没事件:同年11月、韓国海軍の天安艦が北朝鮮の魚雷により攻撃され、軍人46人が死亡した事件)

ということで軍隊時代793日間は訓練で始まり、訓練で終わったわけだが、その数々の訓練の中でも最も悪名の高かった訓練は真夏と真冬に行われる4~5日間の野外訓練である。一番過酷な環境で実戦のようなつらい訓練を行い、戦闘力を高めることが目的である。
その中でも「遊撃訓練」と言われる酷暑期訓練は経験した韓国の男なら誰もが舌を巻く地獄訓練である。2002年の夏、体力に自信がなかった僕も初めて遊撃訓練に挑むことになった。

まず、銃とバックなど40kgを優に超える完全武装状態で部隊から7時間を歩き、訓練地に到着、くたくたになった状態のまま、4日間実際の戦争に備えた様々な訓練に臨んだ。山岳障害物訓練、岩登り、落下訓練、化生放訓練など・・・朝から晩まで野戦状況で生き残るための様々な訓練が続いた。
韓国では体が限界に至ったつらい状態を表現する言葉で「空が黄色に見える。口から焦げ臭い匂いがする」という話がある。甘い環境で育てられた20代前半のなよなよとしている若者らはこの遊撃訓練場で話に聞いていた「空が黄色に見える。口から焦げ臭い匂いがする」、この言葉の意味をやっと身をもって感じることになる。

様々な訓練の中で落下訓練、化生放訓練(科学・生物学・放射能兵器を使った戦争に備えた訓練)はマスコミから世間にもよく知られている「遊撃訓練のハイライト」である。人間が最も恐怖を感じると言われる11mのタワーからロープ一つに頼って飛び降りる落下訓練、高所恐怖症で座り込んで泣いて諦める人も結構いた。飛び降りる直前、教官は「彼女いるのか!?」と聞いてくる。 たまに彼女のいるやつは(前回、明らかにした通り、 カップルの85%が入隊後、別れてしまうというアンケートがある)誇らしげに彼女の名前を大きく叫びながら飛び降りる。僕も大半のかわいそうな軍人と共に彼女の代わりに「オンマ~~(おかあさ~ん)」と叫びながら飛び降りた。当時名前を叫ぶ彼女がいなかったことの悔しさは今でも鮮明に覚えている(笑)

 

化生放訓練は既にマスコミでそのつらさをよく聞いていたので、ガス室に入る直前は緊張してめまいがしていた。その緊張感は経験していない人には分からないもの、死刑を目前にしている死刑囚の気持ちがこんなものだろうか?と考えていた。防毒マスクを着用して入るが、教官は中でマスクを脱がせ、ガスが人体に及ぼす影響を身をもって体験させる。訓練兵全員が目、鼻、口から正体不明の液体を滝のように噴出しながら、苦痛にもがいている様子はどんな戦争映画よりもスペクタクルなワンシーン!

体力の限界を経験し、地獄の扉をノックしてきた闇の奴等へ、真冬になると今度は酷寒期訓練がやってくる。
酷寒期訓練は底冷えのする韓国の厳しい寒さとの戦いとなる。寒さの果てを経験するのは夜間警戒勤務の時。夜分に起きさせ、気温をチェックしたらテント内の気温はマイナス10度、カチンカチンに凍っている靴を履き、寒さとむごい1時間を過ごす。当時一緒に勤務を勤めた先輩の一言が今でも脳裏から消えない。

「はああ、足が寒い。足が寒い!足を切っちゃいたいな!」

厳しい訓練と過ごした残酷な日々、果てが見えなかったその訓練も毎回毎回何とか頑張って勝ち抜いたら、除隊の日はやってきていた。もともと体力もメンタルも弱々しくてナヨナヨしていた僕。「絶対できない!」「無理!」と思っていた訓練も歯を食いしばって挑んだら不思議にも乗り越えることができたし、段々その訓練も楽になっていった。入隊前の自分と訓練を通して鍛えられた軍人の自分は別人だったのだ。

つらいことばかりの訓練だと思われるかもしれないが、一生忘れられない素敵な記憶を作ってくれたのも訓練中だった。サッカー代表チームにも訓練中の僕らにも共に奇跡が起きた、日韓ワールドカップの時のテントの中で行われた応援戦、自分の限界に挑戦する遊撃訓練の時、厳しい訓練が終わってみんなで川で水遊びしていたこと、たまたま野外訓練期間中に誕生日を迎えた僕のために、部隊員がチョコパイにタバコを挿して作ったケーキでサプライズをしてくれ、泣きそうになった記憶など・・・思い出すだけでウルッときて胸が熱くなる素敵な思い出もたくさんある。

漫画「ドラゴンボール」のサイヤ人は死ぬほどの危機を乗り越えると、さらに戦闘力がアップした超サイヤ人になる。入隊から除隊するまで度重なる過酷な訓練、僕は肉体的も精神的にも鍛えられ、「普通の韓国人」から「超韓国人」に進化していた。サイヤ人が宇宙最強の戦士「超サイヤ人」として進化するように・・・。

“2”へのコメント(2)

  1. ニャンニャン のコメント:

    SECRET: 0
    PASS:
    誰よりも生まれる前から軍人または軍隊の生活?に慣れて生まれましたけど第三者と言うか直接の経験はしたことがないためいままで知らなかったところまでも知りました(ノ_<)いろいろ考えますね~

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